『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
ぐぐぐっ…と唸り殿を睨みつける目に焦りが感じられた忍びの一味は地面からはいあがりながらなおも殿に狙いを定めて飛びかかった。
『ドーーーーーーンッ!!』
激しい爆音と共に噴煙がのぼりたつ…。
敵も味方もわからないままに辺りが白い煙の霧に覆われる中…突然腕を強く引っ張られて白煙の帷の中をまるで引きずり出されるように彷徨う…。
『ブアッーー!!
ブアッーーーー!!』
激しい音が進む方向から聞こえてきて白煙の道を記す。
それと同時に白煙の向こう側より…明るみわ帯びたライトが白煙を暖かく照らし出口が近いことを知らせて私は強く腕を引っ張るその腕を握り返す。
すると…ヒョイと私の身体は宙に浮かび上がると同時に固く冷たい床の上にゆっくりとおろされた。
「全員…!!
揃いました。
殿!!」
「でかしたぞ!!
柴田!!
早速…トラックを出せ……!!」
殿と柴田さんの声が聞こえた後…先程まで白煙の帷に閉ざされた景色とは…対照的に光は途切れ閉ざされた扉の閉まる音と共にけたたましいエンジン音が暗闇に響きやがて私達はトラックが動きだしたのと同時に体勢を崩し後ろに引っ張られた。