『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
ガンッ―――!!
暗闇の中思いっきり荷台の壁に激突………!!
「――痛っ!!」
思わず背中に激痛を感じ声をあげたのに‥すぐに私の体を抱き寄せられて背中をさすってくれた。
「大丈夫‥‥‥?」
声は諷馬だったが‥力強く抱きしめられ腕‥硬い胸板に抱き留められて私は目をパチクリとまばたきを繰り返した直後‥。
「カタン‥‥‥。」
屋根に何かの物音を感知し‥思わず床に頭を押し付けられて無理矢理に伏せられた。
「ごめんね‥。
吉乃様‥暫くはその体勢でゆっくりしてて‥!!」
ゆっくりしてろって言われても無理矢理に床に押し付けられてゆっくりもできるような体勢ではないけれど…彼が弟の諷馬じゃないことを暗闇の中で悟った。
チカッ…………。
アウトドアで使うランタンが灯されたと同時に揺れる荷台の中に強制的に殿と諷馬以外の者達は全員床に突っ伏しているのが確認でき…またみんなその状態で互いの安否を確認して苦笑いを浮かべた。