『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「信長様…。」
「えっ…!?
今…何て…?」
不意に口に出した言葉に私は自分でも驚き我に返った。
「信長様…。
ってそれが…夢の中の殿?」
すかさずその呟きに食いついてきた徳家君が私に尋ねた。
「あっ…。
何でもないの…!
ただ…ちょっとその名前が気になっただけ…。」
慌てて取り繕いながらも…私の頭の片隅に重なった男性の視線と夢にみた殿の視線が重なったまま残像として残る。
「それって…!
デジャヴっていうやつ?」
徳家君が興味深そうに尋ねてきたけど私は首を横に振り否定した。
「よくわからない…。
何だろうね。
こんな時にごめんなさい…!」
俯き悟られないように首を振り続けた様子を察した権田教授が言葉をかけた。
「とにかく…逃亡者を保護する手がかりになる。
我々は一刻も早く京都に向かい真相を暴こう…!」
権田教授の言葉に…力強く私達は頷き権田教授は…運転手のおじさんに連絡先を交換した後…それぞれの車に乗り込んだ。