『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
私も助手席の扉を開けようと手にかけた時…何ものかの気配を感じて周囲を見回した。
「姉ちゃん…!
どうした?」
先に運転席に座った諷馬が心配そうに尋ねた。
周囲を見回した方向に何者かの視線を感じ駐車された車を凝視する。
「ごめん…。
ちょっと待ってて…。」
気になった私は車には乗り込まず…運転席にいた諷馬にいい残して…再び辺りを見回した先に駐車された車にうつる影を見つけた。
「ちょっと!
姉ちゃん!」
突然の行動に諷馬も慌てて声をあげるが私は影を探しながら…駐車された車の間をすり抜けて進む影の正体を追いかけた。
「パタン…。」
何かの音がして私は後ろを振り返り前をむくと…そこには…。
「どうしたの?
生駒さん!」
気が付くとレンタカーのトラックの後ろにいた私に気づいて声をかけた徳家君に気づき私は拍子ぬけた。
「なんだ…。徳家君か。
ここに誰か走って来なかった?」
「ちょっと…身の毛もよだつ話だね!
生駒さんって霊感とかあるの?」