『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
徳家君は身をすくめて微笑み言葉を返した。
「ちょっと疲れてるかも…少し休んだ方がいいね。」
気のせいだったのかなあ…と思いまた‥自分にいいきかせるようにしながら言い繕い頭を掻いた。
「まあ…。
権田教授のいう通り…京都にいけば真相がわかるよ。」
徳家君は私の肩にポンポンと軽く叩き私の不安を軽くしようと気遣ってくれた。
「姉ちゃん…!
一体…どうしたんだよ!」
突発的に走ってきた私を追いかけてきた諷馬が私と徳家君を見つけて声をあげた。
「なんか…生駒さんが幽霊をみたらしい…!」
「ゆ…幽霊!!
うわっ…マジでさぶい…。」
身を震わせた諷馬は…周辺を旋回しながらレンタカーの荷台の扉を指差した。
「トラックの後ろ開いてる。」
諷馬の言葉に私達もトラックの荷台に釘付けになり生唾を飲み込み顔を見合わせた。
「ああ…。
ごめん…。
さっき…荷物を確認した時閉め忘れたんだよ…。」
こわばった表情でトラックの荷台のレバーをしっかり閉めながら言葉を返し笑顔を浮かべたその様子に気を取り直し私達もつられて笑ってごまかした。
「とにかく…もう行かなきゃ!!
権田教授達を見失ちゃうよ!」