『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「いや…構わない。
それより地下にいる者達を頼む。」
首を横に振りざまに…頭の被りモノがずれ落ちて目を覆ったのを戻しつつ…労いの言葉をかけてくれた者に再び地下に残してきた者達の救助を頼んだ。
「わかった…。
じゃあ…せめて消防車の中で座っててくれや…。」
精悍な笑顔で消防車なる赤い物体の扉をあけて…殿は支えられながら消防車なる椅子に腰掛けた。
バンッ…。
扉をしめた後またもや被りものがずれ落ちてきたのに我慢できなくなった殿は…被りものをはずした。
「ふっー!?」
なんとかもがきながらも頭から銀の頭巾を脱ぎ捨て一息ついた殿は晴れ渡るその白煙の向こうに…古き街並みの姿はなく…高い塔が建ち並ぶ幻想的な景色が視界に広がった。
「なんとっ…!?
一体ここは…!?
やはり極楽浄土なのか…!」
殿はこの世のものと思えない様子に呆然として驚き声をあげた。
ザッザッザッ…。
消防車なる車の横を走りさる足音に我に返り殿は身を屈めた先に…青い帽子をを見つけそれを目深に被り身を起こした。