『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「ここは…京都の四条御池通り付近ですわ…。
道に迷いはりましたか?」
「京都…四条…御池通りだと…。」
「ほな…。サイナラ…。」
老女は会釈して曲がった腰で乳母車を引き自分が来た方向にゆっくり進行していくのをボンヤリ見送っていた。
「ここが…!
京都…四条だと~!?」
改めて街並みをぐるりと一周見回して驚き声をあげたせいで賑わっていた通りを歩く者達は…殿を中心に二手に別れてシロい目でみていた。
「なんじゃ…。
そんなに俺が珍しいか!?」
鋭い目つきで睨みつけ周りは…恐れをなしさらに離れた。
「ふんっ…。」
鼻を鳴らしてシロい目で見る人々の人垣の間をぬけて…道に描かれた白いハシゴを渡りアテがないままに歩き始めた。