『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
「私は…殿といつも一緒におります…。
殿が悩める時も憂いの時も…苦しい時も…悲しい時も心がどこにいても感じるよういたしまする…。
この場所に体はあっても殿が同じ思いを抱えていてくれる限り私も…鶯たちのようにその場所に飛んで駆けつけますわ…。」
私の言葉に殿は満足気に頷き…そして…ゆっくり顔を仰がせて…。
「生駒君! 生駒君!」
誰かが私を呼ぶ声がかなり近くで聞こえてきた。
「…んんっ…。
殿…。」
もごもごと呟きながら人影を感じた次の瞬間!?
「生駒っーーー!?」
けたたましく割れる声に目を開ける。
“リンゴーンカーン”
同じタイミングで授業終了を知らせる鐘に一斉に周囲がざわめいた‥。
私はうつ伏せの状態のまま…くいっと顔をあげると、そこには大学の日本史の講師 権田 兼人〈ゴンダカネヒト〉教授が‥仁王立ちのまま怒りを露わにして立ちはだかっていた。
‥この瞬間私は夢から完全に冷め冷や汗をかきながら苦笑いを浮かべ居残り確定を覚悟した。