『武士ドルが斬る!?』〈前編〉
この日を境に私と殿の仲は急速に進展し心身ともに結ばれる程になりました。
今となっては…それが良かったのか悪かったのかはわかりません。
殿はありのままに生駒の屋敷では振る舞われているご様子を近くで見守れる事が何よりの幸せを感じておりました。
「吉乃!?
馬が汚れた洗ってやってくれ!」
この辺りの力が有り余った若者達と今日も喧嘩をなさったのか泥まみれでくる事など日常茶飯事でございました。
「まあまあ…。
お召しものはいかがいたします?」
相変わらず私が尋ねた言葉を制して上の着物を脱ぎ捨て着物一枚のまま湯浴びにいかれました。
「相変わらず吉乃のに対して日に日に要望が多くなってきてるのう…。」
兄がその様子を交互に見ながら小声で呟かれます。
「私は殿のわがまま好きでございますよ。」
「吉乃!」
「はい!
ただいま‥!」
湯浴びの場所から大声で叫ばれ私は着物をもってその場を去ろうとした所で兄が呼び止めた。
「吉乃…。」
兄が何かをいいかけたが聞こえぬふりをして笑顔で切り抜け私は殿の待つ湯殿へ参りました。