前途多難な彼女と彼氏①

親と子供

【未来side.】


『あたし、翔じゃなきゃ嫌だから!!』


お父さんに叩かれた頬がジンジンしてる。
でも、知らない人と婚約なんて絶対に嫌だし、翔以外の人なんてもっと嫌だ。


「未来!俺は許さんぞ!そんなヤツ!」


「何よ!お父さんなんてあたしのことホントはどうでもいいくせに!こんなときだけ父親ぶらないで!!」


「おい!未来!!待ちなさい!!」


「翔ここ出よう」


「え、いいのかよ。認めてもらわなくて・・・」


「いいの。どーせ今は無理だし」


家を飛び出したあたしたち。


しばらく走り続けた。


「はぁ、はぁ・・・」


「大丈夫か?」


「う、うん。ゴメンね・・・あんなことになっちゃって・・・」


「大丈夫だって。お前のほうが辛いだろ?」


「・・・かけるぅ~・・・ひっく・・・グスッ」


「今は泣きたいだけ泣け。俺が隠しといてやるから・・・」


「うん・・・!うっ・・・うー・・・」


初めて人の前で泣いた日だった。


それからいつまで泣いていたんだろう。

いつの間にか周りは真っ暗で寒くなっていた。


「未来・・・今日は俺ん家に来い・・・」


「え・・・でも・・・」


「大丈夫。俺一人暮らしだから」


「そっか。じゃぁ・・・今日は泊まってもいいかな・・・?」


「当たり前。嫌だなんて言うわけねぇだろ?」


「ははっ!そうだね」


「やっと笑った。辛いときは無理すんなよ。俺が支えてやるからさ」


―――ドキンッ。


「うん。ありがと・・・」


翔がそんな風に言ってくれて嬉しいな・・・。
やっぱり翔のこと大好き・・・。


「翔・・・大好き」


「な、何だよいきなり!あんまり可愛いこと言うと襲うぞ!?」


「なっ!そ、そんなの」


「冗談だよ♪」


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