BRACK☆JACK~本章~
 ゆっくりと、一歩一歩進んでいく。

 真ん中まで来たところで、ミサトはユイを抱えた。

 傷からはまだ血が止まらないらしく、ユイの顔は青ざめている。


「大丈夫?」

「…なワケないでしょ…今にも倒れそうよ…」


 ミサトに抱えられたまま、ユイは笑う。


「エイジの記憶…戻ったのね…」

「…えぇ」

「…そう…よかった…」


 ユイは小声で、ミサトに耳打ちをする。


「どうした!? 早くディスクをこっちによこせ!!」


 苛々とロンが叫ぶ。

 ミサトは、ユイをエイジとレンの方に押しやると、真っ直ぐにロンを睨み付けた。


「“Chance in a million”」


 ミサトは言った。

 ロンは、訝しげにこっちを見ている。


「アクセスコードよ。しっかり覚えた?」


 にっこりと笑顔を作り、ミサトは言った。

 その後ろで、レンとエイジは顔を見合わせている。

 ミサトはディスクをロンに向かって投げた。
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