BRACK☆JACK~本章~


「…もうしばらく、我慢して」


 ユイを壁際に座らせながら、ミサトは言った。


「あんたたちの笑顔、あたしも見たいし」

「ミサト…あなた…」

「写真を見たわ。それに、あんたのおじいさんがそれを願ってる…。最後に、そう言ったわ」

「………」


 ユイの瞳に、かすかに涙が浮かぶ。


「ありがとう…あなたに会えて、よかったわ…」

「偶然だけど、ね」


 ミサトはウインクして、ユイに銃を返す。

 そして、自らは自分の銃を構えて。

 フロアを見渡すと、ロンが奥のドアを開けるのが目に入った。


「…ロン…あいつ…っ!!」


 ミサトは立ち上がる。


「逃がすかっ!!」


 銃を連射して、ミサトははっとする。

 ロンの部下が、ロンを庇って倒れた。

 それでも構わずに、ロンはドアの向こうに消える。
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