BRACK☆JACK~本章~
「ミサト…君は何故そこまでする?」
屋上の奥で、ロンは何人かの部下を従えて立っていた。
「あの時てっきり始末したものだと思って、油断していたが…あのまま地下深くで大人しく暮らしていれば、長生き出来たものを」
「………」
「私が、お前は生きているという情報を裏の世界に流せばどうなるか、ミサト、お前が一番よく知っているだろう?」
ミサトは無言のまま、ロンを睨み付けている。
「あの時と同じく、生死の境を彷徨いたいか?」
「………」
「私のように、常にあらゆる状況を想定して動かなければ、この世界では死を招く」
「…違う。ディスクが無くなった今、あたし達を相手に勝てる自信が無くなった…だから逃げるのよ。そうでしょ」
「何とでも言え。今はこれがベストな選択だと思っている…。ミサト、裏ルートは、まだこれから手に入れればいい。だが今は、お前のような死神から身を守るのが先決だ」
ビルの向こうから、ヘリコプターのエンジン音がする。
「一つ、言うけど」
ミサトは、銃をロンに向けた。