BRACK☆JACK~本章~
「こっちの世界じゃ有名な男じゃよ」
「悪名だけどな」
レンはそう言って笑う。
「そうなの? 全然知らないし」
大して興味なさそうに、頭の後ろに手を組みながらミサトは言った。
完璧なまでに壊された店の中。
どうすんのよこれ、とミサトはため息をつく。
その時、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
「お前さんたちはここにいないほうがいいな。レン、あんたこいつを連れて行ってくれないか?」
「「えぇっ!?」」
老人の申し出に、またレンとミサトの声が重なる。
「さっき見たとおり、ミサトは銃の名手だ。きっとお前さんの役に立つじゃろ。そしてミサト、この男はお前の捜しているモノを、知っている」
ミサトは、黙り込む。
普段はとぼけているが、この老人は何でも知っている。
その言葉はいつも真実を語っているということを、ミサトは十分解っていた。