BRACK☆JACK~本章~


「失礼ね。これがあたしの本来の姿よ。で、これからどこに行こうっていうの?」

「カジノ」


 そう言って車を走らせるレンも、真っ黒なスーツを着て、サングラスをかけていた。

 このビジネス街のビルの地下に、ある組織が経営する非公式のカジノがあるらしい。


「ちょっと、そこって…あんたを追ってる組織の本拠地じゃないの?」

「そういうことだ」


 ごく普通に言い切るレンに、ミサトはあっそ、と、がっくりとうなだれて。

 もう、何も言い返す気持ちにもなれない。

 というよりも。

 運転するレンの横顔を見たら、何も言えなくなってしまう。


(…思いつめてる)


 真剣な眼差し。

 この男も自分と同じように、やらなきゃならない“何か”があるのだ。

 ただ単に“情報”を追っていると言っていたが…。
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