BRACK☆JACK~本章~
 そのレンが逃げる方向を変えれば 、当然連中はレンのみを追うことになるワケで。


「…ったく~~~!!」


 武器を持っているのは自分。

 ボディチェックを受けるような場所に来たのだから、当然レンは今、刀を持ってはいなかった。

 ミサトはレンの加勢をすべく、左を向いた。

 その時。

 視界の隅に、一瞬だけ映った金髪に近い茶髪の男。


「……!?」


 振り返ると、そこには誰もいなかった。


「早く、こっちよ」


 いきなり声をかけられる。

 いつの間にかエレベーターのドアは開いていて、その中にさっきのディーラーの女が乗っていた。


「なにやってんのよ、あんたここの人間でしょ?」

「ごちゃごちゃ言わないで。彼の行動を無駄にして、二人とも犬死にする気?」


 厳しい口調でそう言い切られ、ミサトは反射的にエレベーターに乗り込んだ。
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