BRACK☆JACK~本章~
「見かけによらず大雑把なのね」
そうこう言っているうちに、女は本当にロープを隣のビルまで渡した。
「あら、あなたも見かけによらず小心者なのね。どうする、行くのやめる?」
「…ほんっとうに、嫌な女」
もちろん行くわよ、とミサトは屋上の壁際に立つ女の隣に移動した。
風が強くて、ドレスの裾がばたばたとはためく。
「ね、あなた、あの短髪の彼とはどういう関係?」
「それをあんたに教える必要はないと思うけど?」
ふてくされたままのミサトに、女は屈託のない笑顔で笑った。
「そうね。行くわよ、しっかり掴まっていてね?」
「振り落としたら、承知しないわよ」
「それはどうかしら」
言い終わるか終わらないかのうちに、女はたんっ、とジャンプした。