BRACK☆JACK~本章~



☆  ☆  ☆



 もうすぐ、太陽は水平線に沈もうとしていた。

 だんだん紅く染まっていく空を見つめながら、ミサトはこのプライベートビーチに備え付けてあるパラソルの下でくつろいでいた。

 昨日とは打って違った、まどろんだ時間。

 テーブルに置いてあるのは、綺麗な蒼い色のトロピカル・カクテル。

 ここを中心にして半径200mの範囲には、誰も入ってくることはできない。

 こんなに広い空間で一人 、夕暮れの海を眺めるなんて最高ね…と、ミサトはこの開放感に酔いしれていた。


「どう? 少しは癒された?」


 カクテルを持ったユイが、そう言いながらミサトの隣に座る。

 ユイとは、組織のカジノから逃げ出す手助けをしてくれた女だ。

 だが、どうもミサトは、この女と気が合いそうにないらしい。

 せっかくのリッチな気分も、このユイという女を見た途端、興ざめしてしまう。
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