BRACK☆JACK~本章~


「わかったから立てよ。帰るぞ」


 レンは軽くため息をついて、ミサトの腕を引っ張った。


「帰る? どこへ?」

「俺はこの偽りの世界は嫌いなんだよ。帰るっつったらダウンタウンに決まってるだろうが」

「…なんだか、わたしに対しての嫌味に聞こえるんですけど?」


 レンを見て苦笑するユイ。

 それを無視して、レンはミサトの腕を引っ張ったまま歩き出す。

 今更になって気付いたが、その身体はかなり傷ついているようだった。

 組織のカジノから一人で逃げてきたのだ、無理もないが。

 掴まれた腕からも、血が滲んでいる。

 だが、レンはそんなことを微塵も感じさせなかった。

 前を向いて、淡々と歩いている。
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