BRACK☆JACK~本章~
 連れて行かれたのは、古びたアパートらしき建物だった。


「俺の家だ…っつっても、三日前に引っ越してきたばかりだけどな」


 五階建てのこのアパートにはエレベーターはなく、二人は歩いて階段を昇る。

 最上階の角部屋が、レンの部屋だった。


「入れよ、遠慮すんな」

「…お邪魔しま~す…」


 部屋に入ると、ミサトはソファに座る。

 両膝を抱え、その膝小僧に自分の額をぴったりとくっつけて。


「…疲れたァ…」


 深く、ため息をつく。


「酒とコンビーフしかねェぞ」


 レンがキッチンから酒と缶詰を持って戻ってきた。


「口に入りゃなんでもいいわよ」


 氷の入ったグラスに注がれるウイスキーを見ながら、ミサトは言った。

 そして、グラスを持つと部屋の中を見回す。
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