BRACK☆JACK~本章~
「あァ。触れて欲しくねェな」
「……あっさり肯定されると思ってなかったわ」
大袈裟に肩をすくめるミサト。
レンは黙って、その写真をジーンズのポケットの中に入れ、リビングに戻っていく。
もうこれ以上何も話すことはない、とその背中は言っているようだった。
「なんだかねェ…」
聞きたいことはあったが、どうもこれ以上レンは何も言ってくれそうにない。
ミサトは問いただすのを諦めて、銃を上着の下に隠したホルダーの中にいれて、玄関に移動する。
「誰も貸すなんて言ってねェぞ」
リビングからレンの声が聞こえた。
「じゃ、今言う。貸して?」
「…………」
レンは黙っている。
「その写真があんたにとっての事実なんだろうけど…あたしがあの人と過ごした時間も、事実なの。これだけは、覚えておいて」
振り向かずに靴を履くと、ミサトはドアを開けて部屋を出て行った。
レンはポケットから写真を取り出して、それを眺める。
「…あァ…わかってるさ」
その中に写る三人を見つめて、レンは小声で、独り言のように言った――。