BRACK☆JACK~本章~
☆ ☆ ☆
朝もやの中、ダウンタウンに動いている人影は少なかった。
酔いつぶれて寝ている人や、家を持たない人が路上に寝ていたりはしたが。
それには目もくれずに、ミサトは上着のポケットに両手を突っ込みながら歩いていく。
昨日の地図は大体頭の中に入っていた。
向かう先は“アゴーラ”だった。
襲撃を受けたあの店が今どうなっているか、気になったのだ。
角を曲がると、店が見えてくる。
あれだけ打ち込まれた銃弾によってめちゃくちゃにされた店内は、まだそのままになっていた。
「おはよう…いるの?」
店のドアを開けて、声をかける。
静まり返った店内に、微かに人の気配がした。
ただならぬ気配を感じ、上着の内側に右手をしのばせながら、ミサトはカウンターの内側に回った。