BRACK☆JACK~本章~
「ま、決裂に終わったけどな。奴らはいくらでも金を出すって言ったが、俺は金なんかいらねェ。もらっても使わねェうちに殺されちゃたまんねェからなァ」
レンは、そう言ってけらけらと笑う。
「…ちょっと…待ってよ…」
「ん?」
「そんな…そんなことしたら、組織にとってエイジは用なしってことになるじゃない…殺されちゃうわよ!」
「あァ。だから時間がねェ。ユイがあいつを庇うのにも限界っつうものがあるしな」
「何をのん気にしてんのよ!!」
ミサトはレンの胸倉を掴む。
「だァから時間がねェ、って言ってんだろ。…行くぞ」
レンはそっとミサトの手を振りほどくと、玄関に向かう。
「いやあんた、そんないきなり…」
慌てて武器を手に取り、追いかけるミサト。
「それにレン、あんた丸腰…」
「いや、違う」
レンは玄関の壁を一部分剥いだ。
そこから出てきたのは、日本刀。
いつかレンが使っていたものではなく、艶のある真っ黒い鞘に納められた、どこか威厳すら感じるような立派な刀だった。
「武器はこれだけで充分だ」
「古風ね」
呆れ顔で、ミサトは言った。