BRACK☆JACK~本章~
【6】
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広い部屋だった。
この部屋にたどり着くまでには、様々なセキュリティーをパスしなくちゃならない。
それをこんなに短時間でクリアすることができる女…ユイは、ガードの制止も聞かずに勢いよく部屋のドアを開けた。
大きな窓にはカーテンが引かれていて、外の景色は見ることができない。
その前の座り心地よさそうなソファに座り、ロンはワインを飲んでいた。
「そんなに急いで…何の用かな、ユイ」
息を切らせてそこに立ち尽くすユイに、ロンは声をかける。
「あんた…何をしたの?」
低い声で、問いただす。
「何の話だ?」
「長老が今朝、殺された、って…」
「…初耳だな」
「そう、知らない、のね?」
ユイはつかつかとロンのそばに歩み寄る。
「…誰がやったのかは関係ない。実際、誰が長老の命を狙ってもおかしくはない状況だった…そうだろう?」
拳を握り締めたままそこに立ち尽くすユイに向かって、ロンは言った。