BRACK☆JACK~本章~
【8】
【8】
飛んでくる弾丸を、軽い身のこなしで避けて。
着地がてら、こっちを狙ってきた敵を蹴り倒す。
すかさずその場から跳びのくと、たった今までいたその場所に、いくつもの風穴が開く。
ひゅう、と口笛をひとつ吹いて、一旦物陰に身を隠し。
「あれが生身だったら、怖ェよな」
冗談交じりに、エイジはそう呟いた。
逃げろと言われても、この建物から出るだけでこれだけ苦労するのだ。
それに。
ユイはロンを殺すと言っていた。
ロンの部下には、腕のいい殺し屋が何人もいる。
それに、ロンの勢力とユイの元長老派の勢力…全体の人数から言っても、ユイのほうが分が悪いのは、目に見えて いた。
『本当のあなたを、取り戻して』
ユイはそう言っていたが。
自分は自分、他の誰でもない。
本当もクソも、何もない。
エイジはまた、廊下を走り出す。
途端に降り注ぐ、銃弾の嵐。