BRACK☆JACK~本章~
「………」
走りながら、エイジはまただ、と思う。
飛んでくる弾丸の中を、こうやって必死に走っていると…いつも、デジャヴを見る。
銃が発砲される音や、辺りの窓ガラスが割れる音。
それらの音は、頭の奥深くでぐるぐると回り、自分の中でヴェールに包まれている部分を、チクチクと刺激する。
『テメェ、何で…!』
『気にすんな。…行けよ、――』
行けよ、の後に続く肝心な名前が出てこない。
だがやけに鮮明な画像が頭に浮かんで。
『どこにいても…世界中のどこにいても、あたしがあん たを見つけ出してみせる』
あァ…そうだったな。
『わたしが、あなたを殺させはしないわ』
ふっと息を吐き、エイジは出会い頭に現れた敵を三人まとめて蹴り倒す。