BRACK☆JACK~本章~


「早まらないで…あたしが、行くまで」


 足早に階段を探す。

 あの男は、そんなに簡単にやられるような男ではない。

 どんなに卑怯な手段を使っても、自分だけは蛇のように生き延びるヤツなのだ。

 歩いていくと、ビルの一番奥にやっと階段を見つける。

 階段周辺には誰もいないようだが、上のほうで微かに銃撃戦の音がする。

 ミサトは躊躇わずに階段を駆け上がる。

 4階まで上り、辺りの気配を探る。

 ここも同じように、見事に壊されていて。

 だが、ふと感じた違和感に、ミサトはフロアを通り過ぎずに歩く。

 ここだけは、他のフロアと造りが違っていた。

 廊下はフロアの周りをぐるりと囲んでおり、 その中心には部屋が一つしかなかった。

 ミサトは、ドアに近付く。

 ドアの鍵は、掛かっていなかった。


「…ここは…?」


 数々の精密機械が並ぶ部屋。

 銃を構えたまま、ミサトは部屋を進んでいく。
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