BRACK☆JACK~本章~
 途端に殺気を感じて、ミサトは反射的にに身を屈めた。

 そのまま身体を反転させて、続けざまに飛んでくる物を、腕で受け止めて。

 はっとして、攻撃を仕掛けてきた人物を見る。


「……エ…」


 言う間もなく、エイジは次々に足蹴りを繰り出してくる。

 ミサトの持っていた銃が、弾き飛ばされた。


「エイジ…!!」

「…なんで、俺の名前を知ってるんだ?」


 たんっ、と着地しながら、エイジは言った。

 ミサトは悟る。

 本当にエイジは、記憶を失くしている。

 …この目で見るまで、信じられなかった。

 心のどこかで否定していた。

 エイジは無言のまま、また飛び掛ってくる。

 今度は避けきれず、その蹴りがミサトの脇腹にヒットした。

 したたかに、壁に身体が打ち付けられる。
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