world's end



ダッフルコートを身に纏い、玄関先に立った。

私は別にあの高校に行きたいわけじゃない。


「期待してるわ。行ってらっしゃい」

私は母親がヒステリーを起こさないように、理想の子どもでいようと努力している。

母親は一人でも立派に子どもを育てられたという実績が欲しいだけだ


今日も彼女の期待は息苦しい。

眩しい朝の光が射し込む重いドアを開けた。ついでに、行ってきますも呟いた。

いつもより歩幅を広げて、平均的な膝丈のスカートを翻す。

遅刻なんてしたら何言われるか分からない。それだけは避けなきゃ。


私は小走りで、のんびり歩き煙草をするサラリーマンたちを追い抜かすと最寄り駅へ着いた。

こんな日は快晴だったりする。朝の空気は緊張と癒しを与えてくれる。陽射しだけは暖かい。

素早く切符を買い、改札口に切符を差し込みホームへ向かう。

入試日が被っているので制服を着た人が多かった。


おそらくこれから通勤する社会人ばかりの電車に乗り込み、8人掛けの椅子に座った。
やがて電車は寿司詰め状態になった。



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