world's end


やっぱり朝の音楽は良い。
全てを遮ってしまう 歪んだギターの音が好きだ。

こんな気分の時、私を現実から逸らしてくれるのは音楽しかない。


電車は揺れる

時折眠るサラリーマンが肩に凭れかかって来る。
こんな思いを三年間も持ち続けるのかと思うとこの先が思いやられた。


目の奥が熱くなるのを必死で堪えた。これで、終わりにするんだ。

ドアの向こうに過ぎていく景色ばかり見ていたら、
窓側に立つ男子が不審に思ったような表情で私を見た。すぐに目を逸らした。

ぼーっと中刷り広告を眺めるとその”元”友達が好きなアイドルの熱愛報道が大きく載っていた。
あの子はショックを受けてるんだろうか

ブラウン管の中の手の届かない虚像に惚れ込むなんて、正直くだらないけれど。


『次は~桜台です』

電車のアナウンスで早めに席を立った。

おばさんと気弱そうなおじさんが椅子取りゲームをしたが、やはりおばさんが勝った。


この桜台駅から徒歩5分ほどの距離にある県一の進学校。
それが私の二年越しの決戦の地。

負けるわけにはいかない。

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