ふたり輝くとき
第一章:輝くお城へ
光の国の花嫁
ガシャン――
大きな音を立てて部屋に飾ってあった壺が粉々になって床に散った。
「ユ、ユベールさ――っ」
ユベールはそれを冷たい目で見つめてキッと近くに控えていた侍女を睨みつけた。侍女は真っ青になって身体を震わせている。
(ムカつく……)
どこぞの老いぼれが作った無駄に値の張る壺など、この城には腐るほどあるのだ。1つくらいどうってことないだろうに。
責任を取らされるのはこの侍女になるだろうからこれだけ怯えていても仕方ないかもしれないが、それはユベールには全くもって関係ない。
「ユベール様、ここ3ヶ月で一体いくつの壺をお割りになったか覚えていらっしゃいますか?」
後ろから冷静な声が聞こえてきて、ユベールは舌打ちする。
「そんなの、数えてるわけないでしょ。大体、誰のせいで僕がイライラしてると思ってるの?」
「今のもので31個目です」
ユベールの質問には答えるつもりがないらしい。ユベールはもう1度舌打ちをして、ドサッとソファに座った。
「クロヴィス、君さぁ、ずっと知ってたんでしょ?なんで今更止めに来たわけ?」
ユベールの目の前に立つ長身の男。眼鏡の奥の瞳はじっとユベールを見つめているが、何の感情も読み取れない。
ユベールは国王ダミアンの側近を努めるこの男が嫌いだった。
そして今日も、この男のせいですこぶる気分が悪い。いや、悪くなった。
大きな音を立てて部屋に飾ってあった壺が粉々になって床に散った。
「ユ、ユベールさ――っ」
ユベールはそれを冷たい目で見つめてキッと近くに控えていた侍女を睨みつけた。侍女は真っ青になって身体を震わせている。
(ムカつく……)
どこぞの老いぼれが作った無駄に値の張る壺など、この城には腐るほどあるのだ。1つくらいどうってことないだろうに。
責任を取らされるのはこの侍女になるだろうからこれだけ怯えていても仕方ないかもしれないが、それはユベールには全くもって関係ない。
「ユベール様、ここ3ヶ月で一体いくつの壺をお割りになったか覚えていらっしゃいますか?」
後ろから冷静な声が聞こえてきて、ユベールは舌打ちする。
「そんなの、数えてるわけないでしょ。大体、誰のせいで僕がイライラしてると思ってるの?」
「今のもので31個目です」
ユベールの質問には答えるつもりがないらしい。ユベールはもう1度舌打ちをして、ドサッとソファに座った。
「クロヴィス、君さぁ、ずっと知ってたんでしょ?なんで今更止めに来たわけ?」
ユベールの目の前に立つ長身の男。眼鏡の奥の瞳はじっとユベールを見つめているが、何の感情も読み取れない。
ユベールは国王ダミアンの側近を努めるこの男が嫌いだった。
そして今日も、この男のせいですこぶる気分が悪い。いや、悪くなった。
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