ふたり輝くとき

欲と女

ユベールは大臣たちが片っ端からどうでもいい政治の話をしているのを、頬杖をついて聞いていた。

(つまらないなぁ……)

いろいろと回りくどいことを喋ってはいるが、要はどうすれば自分の都合のいいように国を動かすことができるのかということ。

腐っている。すべてが。こんな闇の底に沈んだ国を立て直すのはもはや不可能だ。

(大人しくしてるかな……?)

ふと、サラのことを思い出してため息をつく。

ジャンがサラを殴った日から、かなりのショックを受けていた様子のサラはあまり部屋を出なくなったようだった。

よく城を抜け出すように行っていた中庭へも。

部屋を出る度に何かと絡まれるサラ。

(ムカつくな)

そうなのだ。きっと、この前もロランに抱かれて戻ってきたことに腹が立っただけだ。

サラはユベールの人形だから。

あの性悪異母兄の上着も、奴がサラに接触するたびに彼女の肌の甘い匂いがかき消えるほどに2人が近づくことも、ユベールをイラつかせる。サラの前で王子様気取りだということも、何もかもだ。

アンナもジャンもサラを使おうとするし、ダミアンも……この前の一件で少しは大人しくなったようだけれど、諦めたとは思えない。

なぜ、サラを奪い合う?サラはユベールのものなのに。
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