ふたり輝くとき
「あ、ほら、あそこ。行こ!」

そんなサラに気づいていないのか、ユベールはグッとサラの手を引いた。

そして入ったのは、小さな宝石商。

「わぁ……」

小さなお店で品物の数は少ないけれど、どのアクセサリーもキラキラと輝いてその存在を主張している。

その中でも、サラの目を引いたのはハート型に削られた琥珀がついたブレスレット。その色が、ユベールの瞳の色に似ていたからかもしれない。

「それが気に入ったの?」

サラの後ろから覗き込むようにしてユベールが聞いてくる。その距離に、またサラの心臓が騒ぎ出す。今日の自分はおかしい……

「あの、えっと……」
「おじさん、これちょうだい」

サラが答えるよりも先にユベールがブレスレットを指差して店主を呼んだ。

「これかい?だがこれは……」
「お金ならちゃんと持ってるよ」

訝しげに2人を見た店主に、ユベールは小さな袋を差し出す。その中身を確認すると店主はすっかり態度を変えて、ブレスレットを綺麗に包んでくれた。

サラはそれを遠い世界の出来事のように見ていることしかできなかった。

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