ふたり輝くとき
「それで、一体どうしてこんなことになったのです?」

クロヴィスが問うと、ユベールは顔を背けた。だがそれは、自分に非があると認めているようなものだ。

「ユベール様」
「ああ、もう!うるさい!僕が“愛のない”キスをしたのが気に食わなかったんじゃないの?」

投げやりに言うユベールは、いつもとは違って顔を歪めて苦しそうな顔をしていた。

やはりサラをユベールに引き合わせたのは正解だった。サラにはつらい思いをさせているが、それもすぐに終わるだろう。

「それは、本当に“愛のない”ものだったのですか?」
「何が言いたいの?」

認めないのは……ユベールだって同じだ。

クロヴィスはため息をついてサラの頬に手を当てた。少し熱があるようだ。

「クロヴィス!」

クロヴィスが答えないことへの苛立ちなのか、それともサラに触れたことに対する嫉妬なのか、ユベールは低い声を出して立ち上がった。それを、チラリと見てからクロヴィスはサラから手を離す。

「サラ様は少し熱があるようですね。ユベール様は今日の執務はどうなさいますか?」
「君、僕とまともに会話する気がないよね?」

そうだろうか。クロヴィスはただ、必要なことしか口に出さないだけだ。

「では、しばらく……そうですね、3日ほどはスケジュールを調整致しますのでご心配なく」
「クロヴィス!ちょっと待ちなよ!」

クロヴィスはユベールの言葉を無視して軽く頭を下げてから部屋を出た。

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