ふたり輝くとき
――静かになった部屋。

ユベールはサラのベッドに近づいて、そっと端に座る。

トラッタメントのおかげで切り傷や赤くただれた箇所はすっかり治り、元通り白い肌はとても綺麗だ。

ユベールはそっとサラの右手を握ってシーツから出した。

細い手首には……いつか、ユベールが“手錠”だと言ってプレゼントした琥珀のブレスレット。

『私を愛してくれない人なんて、好きにならない!』

あのとき、ユベールの頬を叩いたのもこの右手だった。

「それなら、どうして外さないのさ?」

ユベールはそっとブレスレットに唇を寄せる。

(愛は、ないよ……)

言い聞かせるように、ユベールは心の中で何度も繰り返した。同じだから、傷を舐め合う。ただそれだけだ。

同じ……はずなのに、サラは輝きを保てなかった自分とは違って純粋で、眩しくて。そして、周りの欲望という闇に押し潰されてしまうサラは……

「君は、弱いね」

小さくて弱いのに、輝きは人一倍に強い可愛いお人形。

「僕の……」

ユベールはサラの手を握ったままベッドに突っ伏した。サラの甘い香りがユベールを包む。

(サラ……)

そのまま、目を閉じた――
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