ふたり輝くとき

神と悪魔

ユベールはクロヴィスに言われた通り、執務を3日休んだ。

毎日ぼんやりと、サラの眠るベッドに座ってあどけない寝顔を見て過ごした。それしかすることがないと言えばそうだし、それ以外のことをしようとも思わなかった。

考えていたのは、『それは、本当に“愛のない”ものだったのですか?』という、クロヴィスの言葉。

クロヴィスは、ユベールがサラを愛していると言いたいのだ。けれど、そんなことはありえない。この世で、恋や愛ほどバカげたものはない。そんなものは存在しないのだ。

人は欲を満たすために身体をつなげ、子供を作り、道具とする。ユベールもサラもそうやって“創られた”人形。感情など、持たないはずなのに。

(あぁ、もう!)

それなら、どうして自分はこんなにイライラしているのだろう。

どうして、サラにキスをしたのだろう。サラに好きだと言わせたいのだろう。サラを守ったのだろう。

どうして、サラを……泣かせたいと思うのだろう。

(なんでっ!?)

サラのことばかり、考えているのだろう……
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