ふたり輝くとき
ドン、と鈍い音がして思わず瞑ってしまっていた目を開けるとロランが目の前で膝をついていた。

「っ、随分……乱暴な王子様だね?」

苦しそうに顔を上げて振り返ったロランの視線を辿れば、ユベールがロランを睨みつけていた。ユベールはそのままサラのもとにやってきて、サラの右手を掴む。

それと同時にユベールの身体から漏れていた気が濃くなった。

「ユベ――っ」

グッと引っ張られてよろけたサラの身体を受け止めるユベールの体温はとても熱いように感じられた。

ユベールは何も言わないままサラの手を引いて歩き出した。大きな歩幅でどんどん引っ張られ、サラは縺れそうになる足をなんとか動かしてついていく。

城に入って階段を上がり、廊下を進んでたどり着いたのはユベールの部屋。ユベールはそのまま自室に入って、鍵を掛けた。棚まで歩いて薬瓶を取り出す。

デ・ジャヴ――

「い、いやっ!ユ――」

顔を背けたサラの顎が乱暴に掴まれて唇を重ねられた。やはり、サラがそれを飲み込むまでユベールは許してくれなくて。

「逃がさないよ」

そう言ったユベールは苦しそうに顔を歪めて、今にも泣きそうな顔をしていた。

ふわりと身体が浮かんで、すぐにベッドへと身体が沈む。ユベールの影がゆらりとサラの上に落ちた。

その瞳に揺らめく炎が嫉妬だと思うのは、サラがそう願っているから……?
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