ふたり輝くとき
――サラがユベールの下で浅い呼吸を繰り返す。ギュッとシーツを握り締めていたその手は力が抜けて、全身が熱を帯び、白い肌を桃色に染めている。

そこに浮かぶ赤い華は、まるでサラの全身を縛るかのように……数え切れないほど散っていて。そして潤んだ瞳と、頬を伝う涙。

ユベールは言い知れない感情に支配された。この感情は、何と呼ぶのだろうか。

ゾクゾク、する。

サラの白く細い足の間に身体を滑り込ませ、そっと太ももを撫でる。サラがビクッと身体を跳ねさせて、足を閉じようと力を入れた。

だが、それに構うことなくユベールは腰を落としていく。同時に満たされていくユベールの心の隙間。

ずっと、イライラしていた。どうして腹が立つのかもよくわからないまま、またそれにイラついて……だけど、やっとわかった。

最初からこうしておけば良かった。ユベールの部屋に、腕の中に、閉じ込めれば――自分だけのものにすれば――それが、ユベールがサラに望んでいたことだったのだ。

ユベールだけのサラでいて欲しい。

「ま、待って……、ユベール様っ、いや……」

サラが苦しそうに顔を歪めながらユベールの肩を押す。

「サラ……っ、力、抜いて……」
「や、お願い!待ってくださいっ」

なぜ……

「待たないよ。サラ、君は僕のことが好きなんじゃないの?」
「……っ!」

その瞬間、サラの腕の力が緩んだ。やはり、彼女は純粋で嘘がつけなくて……その肩書き通り“光の国のお姫様”で、ユベールには眩しすぎる。
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