ふたり輝くとき
「クロヴィス!どこに行っていた!?」
「申し訳ございません。少々、情報収集に手間取りまして」

ダミアンはクロヴィスを見つけると、掴んでいた血まみれの警備兵を乱暴に床に叩きつけた。

その周りには同じように真っ赤に染まった服を纏う侍女やクラドールが横たわって苦しそうな声を発している。もう動かない者も何人かいて、クロヴィスは心の中で舌打ちをした。

これでは何があったのか正確な情報を聞き出すのは困難だ。

「クロヴィスが遅れて来るなんて珍しいね」

ダミアンの横で口元に笑みを称え、勝ち誇った顔をしているのはロランだ。クロヴィスはそれを一瞥してから腰を折った。

「一体、なぜこのような事態に?」
「サラが私を謀りおった!」

返り血だけのせいではない、顔を真っ赤にしてそう叫んだダミアンは足元に倒れていた侍女の頭を踏みつけた。

「昨日の昼過ぎ、父上を訪ねてきたらしい。ジュストに会いたいと言ったそうだ」

怒り狂うダミアンの代わりにロランが口を開く。

サラの訪問に気を良くしていたダミアンは、彼女をジュストが眠る秘密の地下室へと案内してしまった。

「ところが……今朝、父上がジュストに会いに行ったら彼は死んでいた。ジュストを診ていたクラドールも、部屋の警備兵も、皆殺しだった」

そこで、ロランは口元を手で押さえた。クロヴィスはその裏に隠された笑みを見逃さなかった。

いや、おそらくロランはもう勝った気でいるのだ。昨日、クロヴィスにも自ら接触してきたし、今も勝利の微笑みを隠そうとはしていない。
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