ふたり輝くとき
極秘部隊にユベールとサラの捜索についての指示を出してから、クロヴィスは執務室に戻ってきていた。

『ロランの言う通りにやっていいわけ?』
「あの中にも、こちら側の人間はおります。ただ、人数的に3つの部隊のうち1つしか私たちの“希望”は通りません」

クロヴィスは机の引き出しから痛み止めの入った小瓶を取り出して一気に飲むと、音を立ててそれを机に置いた。

「……ユベール様の気を追えますか?」
『いや……君がロランに襲撃を受けたときは部屋にあったけど、昨日の夕方から突然消えた』

クロヴィスは眼鏡を外して目を閉じた。

『さすがに国外までは追えない。それぞれの国の国境結界もあるし、僕はこの時代に生きていないから』
「では、ジュスト様は?」

そう言ってすぐ、クロヴィスは乾いた笑いを漏らした。少し、疲れているのかもしれない。そんなわかりきったことを問うなんて。

『残念だけど、彼は確実に殺されたよ。彼の気配もユベールと同じ頃合でパッタリ途絶えた』

そう、クロヴィスが意識を失っている間にいろいろなことが起きた。
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