ふたり輝くとき
「サラ。もう1つ、聞きたいんだけど」
「はい……」

吐息が交わる距離でユベールは囁いた。サラは頬を染めてユベールを上目遣いで見つめてくる。彼女の唇から零れる甘い空気は少し熱い。

「君、熱があるよね?」

それが、ユベールの気になっていたもう1つのこと。

サラとこの場所にやってきてから、ずっと寄り添っていた。風を避けるのに小さな洞窟を見つけて夜を明かしたけれど、キスをする度に彼女の唇や舌の温度が上がっていくのがわかった。

薄着のまま出てきてしまったから、冷たい風に吹かれて風邪でも引いたのかもしれないと思ったけれど……

「それに、気の漏れ方もおかしい」

サラは今、通常の状態に戻っていなければおかしいはずだ。パラリージの効果もすでに切れているし、興奮しているわけでもない。

それが、ずっと……いや、漏れる気の量は増えるばかりで。

明らかに異常だ。

「そ、う……ですか?」

そう答えるサラの瞳も、ずっと潤んだまま。ユベールの熱に浮かされているだけではないだろう。

「苦しいならちゃんと言わなきゃわからないよ」
「苦しくは、ない……です」
「本当に?」

ユベールが念を押すように聞くと、サラは小さく頷いた。
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