ふたり輝くとき
だとしたら……やはりサラの身体は中途半端にいじられていた、ということになる。

不完全なままだった彼女のセントロとトゥーボは、先日の力の暴走で何かが壊れてしまったのかもしれない。

何にせよ、これでは自ら発信機をつけて逃亡しているようなもの。

「とにかく、どこか……僕たちの気が反射される場所を見つけなきゃ話にならない」

光属性であるサラの気を反射して、外に漏らさない場所――鏡張りの部屋か、それに相応するような場所が必要だ。

だが、そんな場所が一体どこにあるというのだろう?

ユベールは頭をフル回転させる。

(マーレ城……いや、ダメだ)

城ならば、簡単に鏡張りの部屋を用意できるだろう。城には結界も張ってあるから部屋を用意するまでもないかもしれない。

しかし、ユベールを簡単に受け入れてくれるほどルミエールとマーレの関係は良くない。それは、ルミエールがクラドール欲しさに強引な外交をするのが主な原因であり、ユベール自身にも心当たりはありすぎるほどなのだ。

自然界でそのような場所があるとすれば、氷穴などの氷で覆われた場所。鏡より効果は落ちるだろうけれど、剥き出しで追っ手を待つよりはマシだ。

(この奥……)

ユベールたちの身を隠す洞窟の奥には、求める景色が広がっているだろうか?

そんなことを考えていたとき――
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