ふたり輝くとき
「――っ、レフレシソン」

ユベールはギュッとサラを抱き締めて素早く呪文を唱えた。

「サラ、気の流れを止められる?」
「ど、どうすれば……っ」

切羽詰ったユベールの声と、突然唱えられたレフレクシオンの呪文に身に迫る危険を悟ったサラが身体を震わせた。

「僕に合わせて、呼吸して」

ユベールはそう言って、サラの顔を胸に押し付けた。

レフレクシオンは動く物体に使うのはかなり難しい。特に、気のような流動体は常に形を変えるから、それに当たる光の反射率も常に調節しなければならない。

自分の気の流れは把握しているから特に問題はないが、他人のものは別だ。しかも今、サラは無意識に気を放っている状態である。

できるだけ、その流れをユベールの気にシンクロさせるよう呼吸を促す。

「ゆっくり、吸って……吐いて…………そう、いい子だね。そのままだよ。静かにしていて」

サラはユベールの胸の動きと合わせて呼吸をしている。ユベールは目を閉じて呪文に集中した。少しでも乱れたら、すぐに捕まってしまう。

すぐそこまで迫った……極秘部隊に。
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