ふたり輝くとき
ポツリと、サラの頬に落ちてきたユベールの汗。

サラはユベールに合わせて呼吸をしながら、そっと彼の顔を盗み見た。眉を顰め、汗をにじませながらサラを守るようにその腕に閉じ込めてくれている。

「ここだ」

洞窟に響いたその声に、サラはギュッとユベールの背中に回した手に力を込めた。

「動いちゃ、ダメだ……」

ユベールが苦しそうに声を出す。

彼は今、ユベールとサラ、それにサラの漏れ出す気にも呪文を使っているのだろう。サラは震えそうになる身体に力を込めた。

足音が近づいてくる。

「消えた……」
「レフレクシオンか。やっかいだな」

男が舌打ちをする。

「いや……我々もここで休めば良い。いつまで呪文を使えるのか、見物ですな。ユベール様?」

下品な笑い声が響いて、サラのすぐ近くでドサッと音がした。男たちが座り込んだらしい。

「へぇ……?」

すると、何を思ったのかユベールが呪文を解除した。素早く立ち上がり、サラの目の前に立つ。

「ぐぁっ」

それと同時に2人の近くに座っていた男が呻き声を上げて床に倒れこんだ。その首には光の輪が掛けられている。拘束の呪文だ。
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