ふたり輝くとき
「お苦しそうですな。貴方がこんな少女を愛されるとは意外でした」

ククッと笑った男は、その手に携えていた剣を思いきり振り落とした。ガッと大きな音が響いて、ユベールの壁にひびが入る。

「8人おります。この壁がなければ……サラ様を庇いながら、その残り少ない体力で全員を殺すのは大変ではありませんか?」

楽しそうに笑いながら、男は何度も剣で壁を叩いた。ユベールが片手を地面について少し呻く。

「や、やめてください!貴方たちは私を追っていらっしゃったのではないのですか!?ユベール様を傷つける理由はないはずです!」

サラはユベールの身体を支えて叫んだ。

「サラ様、“共犯”というお言葉をご存知ですか?貴女たちはすでに――」 
「うるさいなぁ」

苛立ったようにユベールが言い放ち、サラを突き飛ばした。

「きゃっ!?」

しかし、サラの身体は柔らかく受け止められ、目を開けると光の球体の中にいた。風船のようなそれは少し浮かんでいる。密閉の呪文をサラだけに施したらしい。

「ユベール様っ」

ユベールは光で作られた何百本もの短剣を鋭く放っていく。8人の男たちはそれを跳ね返すのがやっとのようだ。
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