ふたり輝くとき

結婚の意味

サラは鏡に映る純白のドレスに身を包んだ自分を見つめてため息をついた。

城に来て1週間、気づいたことがある。

……サラは歓迎されていない。

いや、正確にはとても優しくしてくれる人たちとあからさまに敵意をむき出しにしてくる人たちの差が激しい。

今まで生きてきて、こんなに自分に厳しい視線を向けてくる人たちはいなかったからその視線がとても怖い。

世話をしてくれる侍女は好意的だが、廊下ですれ違う侍女はサラを見ると嫌そうな顔をするし、挨拶をしても無視される。

サラはそっとブレスレットに触れた。

この1週間で、ルミエール城はサラにとって怖い場所になっていた。憧れていた、華やかなお姫様には到底なれそうにない。

(ユベール様……)

城下町でのデートを思い出してつらい気持ちを押し込める。クレープの味はよく思い出せないけれど、苺味のキスは……今も口の中に甘さが残るかのようにサラを酔わせていて。

ユベールがキスをしてくれたのは、サラが憧れの王子様とのデートを望んでいたからだと……言い聞かせている。それなのに、ドキドキと高鳴る心臓は止まってくれなくて。

あれから今日までの1週間もユベールはほとんどの時間をサラと過ごしてくれたから。

初めは緊張していたサラも、ユベールの気さくさに少しずつ自分のことも話せるようになってきた。食事も一緒にしてくれるし、寝る前にも必ず部屋にきて“おやすみ”と言ってくれる。

だから……期待、してしまう。

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