ふたり輝くとき
「チッ」

しばらくユベールに圧される形で攻防を続けていたが、舌打ちをした1人の男がサラに向かって矢を投げてきた。

「――っ」

サラは思わず目を瞑ったが、矢は壁に弾かれて消えた。しかしそれを見た他の男たちもサラを守る壁を壊そうと攻撃を始める。

ユベールはそれらを弾きながらも、男たちへの攻撃の手を緩めることはしない。

ユベールの短剣は男たちに小さな傷をいくつもつけていくけれど、動きを止められるような決定打はなく……だんだんと彼の動きは鈍っていった。

「ユベール様!」
「サラっ、いい子だから静かにしてて!」

ユベールが叫んで彼の身体が光を放つ。

そして大きな剣を作り出し、サラの壁を攻撃する1人の男に切りかかった。

「くっ」

男も光の剣でそれを受け止めた。だがユベールは素早く剣に添えていた片手を離し、光を凝縮した玉を作ったその手を男の腹へと当てて爆発させた。男の身体が吹き飛び、洞窟の壁に叩きつけられる。

ユベールは休むことなく、その間にユベールの背後をとった2人の男のうち1人を蹴り飛ばし、もう1人を振り向きざまに切りつけた。

サラは次々と男たちを蹴散らすユベールを震えながら見ていることしかできなくて。

ユベールは大きな怪我はないけれど、避け切れなかった攻撃のせいでところどころ服が破れて血が滲んでいる。
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