ふたり輝くとき
どれくらい、そうしていたのか――

ユベールの耳に届く音に小さな足音が混ざって、ユベールは薄っすらと目を開けた。

来るなと言ったが、クリスティーナもお人好し。また様子を見に来たのだろうか……

いや、よく聞くと彼女の足音よりも重い。

ユベールはハッとして体勢を整えようとした。
しかし、サラを抱きかかえていたせいで遅れた反応を見逃すほど敵は愚かではない。

素早く2人の目の前に現れた彼は、ユベールの首を右手で掴みニッコリと微笑んだ。

「やぁ、ユベール」
「ロラ、ン……」

ユベールがロランを睨みつけると、ロランは愉快そうに目を細めた。

「マーレの王女を遠ざけたのは失敗だったんじゃない?まぁ、おかげでこっちはやっと城に戻れるけれどね」

ずっと、この洞窟を見張っていたらしい口ぶり。そしてすぐに先日2人を襲撃した男たちも姿を現した。

彼らはユベールの手に手錠をかけ、足首にも同じような輪を掛けた。ロランが掴んでいた首にも、それが嵌められて手が離れる。

ロランはサラを抱き上げた。

「触るな――っ!?」

叫んだのと同時に身体に電流が走って、ユベールは地面に倒れこんだ。

「自分の力を食らう気分はどう?」

ロランはクスクスと笑いながら言う。
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