ふたり輝くとき
「その手錠、ジュストの部屋で見つけたんだ……古代、ユベール国王の代でクーデターが起こったときに使われたものらしい」

チャクラを外に放出させないための道具。アルミニウムを練りこんで作られたそれは、手・足・首にすべてつけることで捕らわれた者の周りに見えない鏡を作り出す。光属性のチャクラはそれに反射して呪術者へと向かってしまう。

「――っ、君に踊らされてたなんて気分は最悪だ」

ロランがジュストの部屋に入った、すなわちジュストは殺されたということ。

そしてあれだけの追っ手を用意しているということは、ユベールとサラにジュスト殺しの容疑がかかっている。ユベールとサラが逃げたのだから当然だ。

「ははっ!ユベール、君たちの逃亡は俺のシナリオには入っていなかった。あのまま、サラとお楽しみのところを抹殺できるはずだったんだけどね」

ユベールを煽ったところから、すべてが動き出していた。ユベールは感情に流されてそれを見落としてしまったのだ。

自分自身に対して、ユベールは言いようのない怒りを覚える。

「さて、父上がお待ちだ。早く行こうか」

ロランはユベールの一番嫌いな笑みを浮かべてから歩き出した。2人の男に立ち上がらされ、ユベールは引きずられるようにしてその後をついていくことしかできなかった。
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