ふたり輝くとき
「みーんな、仲良いんだねぇ。責任のキャッチボールなんかしちゃって。で?結局、誰のところで爆発するの?」

黙って見ていたが、なんと滑稽な舞台だったのだろう。ロランのシナリオはこんなお粗末なものだったのか。いや、役者がお粗末過ぎる。

こんな長い会話をしなくとも、最終的にサラにすべての罪を被せて事を収めるつもりなのに。

「もう、全員でいいんじゃない?全部、僕が壊してあげるからさぁ……皆仲良く地獄へ堕ちたらいいよ」

ロランの舞台を壊し、ついでにユベールのシナリオに戻してやろう。今、ここで、すべてがユベールの望んだままに幕を閉じるのだ。

「ユベール、強がるのはやめた方がいい」

ロランがため息をついて近づいてくる。

「壊す?君には、手と足、首にまで枷がついている。さすがの君でも無理だよ。自分のチャクラは痛いってもうわかったでしょ?」

人差し指で胸を突かれ、ユベールはロランを睨み付けた。この“王子様”も、ユベールが思っていたよりバカなようだ。

ユベールは静かに目を閉じた。ロランはそれを諦めととったらしく、鼻で笑ったような気配がして隣に立つサラへと向きを変えたようだった。

グッと拳を握って叫びたい衝動を抑え、ユベールは神経を集中させる。

胸の中心にチャクラを集め、渦を巻かせる。

呪文は見たことしかないが、仕方がない。

ユベールは焦る気持ちを抑えて確実にチャクラを貯めていった。
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